このほど遺言続に関する制度が見直され、自筆証書遺言を法務局で保管する制度がスタートします。
そこで保管制度とは何か
どういう点が改正されたのか
いつから始まり手続きはどうするのか、また利用にあたって気をつける点は何か
について解説してゆきます。
また相続のルールについては大きく改正されています。
そちらについては
ご覧ください。2020年4月22日更新
自筆証書遺言の保管制度とは
現在遺言には大きく分けて次の3種類があります。
1 自筆遺言
2 公正証書遺言
3 秘密遺言
これらについて簡単に説明しましょう。
自筆証書遺言
- 自筆証書遺言とは、遺言者が紙とペンを使い自筆で遺言書を作成する形式
- 特別な手続きが何もいらないので最も利用しやすい方法
- 改ざんや保管中に紛失したり、遺言者が遺言書の存在を語っていないために見つからず遺言者の遺志が尊重されないなどの問題がある。
という特徴があります。
しかし以下のような問題があり、トラブルが多発してきました。
- パソコン作成が認められず遺言者が、遺言全文(財産目録含む)・日付・氏名を自書し、押印をしないと、その遺言書は遺言としての効力が認められない。
- 『作成日を年と月しか記載していない』など、少しでも不備があると自筆証書遺言は遺言としての効力を失ってしまう。
- 家庭裁判所に遺言書を提出して検認手続きをしないといけない
そこで利用されてきたのが公正証書遺言です。
公正証書遺言
公正証書遺言とは、2人の証人が立ち会いの下、公証人が遺言者から遺言内容を聴き取りながら作成する遺言です。作成した遺言書は公証人役場で保管されます。
- メリットとして
- 内容に不備が生じる可能性が低く、偽造・紛失の心配もない。
- 検認手続きも不要で争いが生じる可能性は低い。
しかし、
- 遺言書を作成する事前に公正役場に申請をする必要があり、出張もありますが基本公証人役場まで出向かねばならず、高齢者にとってはハードルが高い。
- 遺言書作成に数万円単位の高い手数料が求められる。
- 財産(遺産)の金額や条件によって変動しますが、財産1億円で約5万~15万円程度です。しかし、この金額は本人が遺言の内容を考えて、自分で証人2名を手配し、公証人に頼んだ場合の金額です。
などがあり、利用のハードルは高かったです。
あと秘密証書遺言というのもあります。
秘密証書遺言とは、遺言者が自分で用意した遺言書を2人の証人と同行して公正役場に持ち込み、遺言書の存在を保証してもらえる形式です。
証人と公正人には遺言の内容は公開せず、遺言書があるという事実だけを確実にするのが目的になります。不備があっても指摘されないので効力を保証するものでなくまた手間もあることであまり使われていません。
今後はさらに使われなくなるでしょう。
自筆証書遺言の保管制度
そこでこれまでの自筆証書遺言の欠点を補完するために保管制度ができることになりました。
制度をかんたんにいうと
- 遺言書を法務局で保管してくれる
- 形式チェックをしてくれる
- 財産目録はPCで作成してもよい
- 保管されると相続人に遺言が保管されている通知がいく
- 値段が安い 3900円
ということになりました。
これによって
- 遺言がなくならない
- 改ざんされない
- 遺言があることが分かるようになる
- 裁判所の検認が不要になった
- 形式ミスで効力がなくなることが防げる
- 手間が軽減される
- 費用が節約できるというメリットが生まれました。
これいいですね。ではいつから始まるのか利用するにあたってどういった点に気を付けたら良いでしょうか?
いつから始まるか 費用、手続きは?
保管制度は令和2年7月10日より始まります。
手数料は収入印紙で納付します。手数料は、3,900円です。
金額だけで比較すれば自筆証書遺言の保管制度を利用する方が安上がりです。
どこで手続きしたらよいかというと全国300か所にある法務局になります。
また申請は本人でなければなりません。
手続きは法務局に保管申請を行います。
- 申請書に、申請す申請する人の氏名、生年月日、住所及び本籍等を記入して法務局に提出します。
- 保管の申請ができる法務局は、法務大臣が指定する法務局で、申請人の住所、本籍地、所有する不動産の所在地を管轄する法務局です(遺言書を保管する法務局を、「遺言書保管所」と呼び、遺言書の保管を取り扱う法務事務官を「遺言書保管官」といいます。)
- 保管の申請を受けた遺言書保管官は、提出された遺言書が民法の定める方式を守っているか確認した上で、遺言書を預かります。
注意点
- 遺言書の保管の申請は,遺言者が遺言書保管所に自ら出頭して行わなければなりません。その際,遺言書保管官は,申請人が本人であるかどうかの確認をします
- 遺言書の封筒の封をせずに持参すること
- 遺言書保管官は、提出された遺言書が民法の定める方式を守っているか確認するだけで遺言の効力を保証するものではない
- 遺言書に添えて、次に掲げる事項を記載した申請書を遺言書保管官に提出しなければなりません。
- 遺言者は保管された遺言を閲覧できますが、遺言者の生存中は,遺言者以外の方は,遺言書の閲覧等を行うことはできません。
- 遺言者の住所・氏名・本籍に変更が生じたときは、速やかに、その旨を法務局に届出をする必要があります。
まとめ
この制度の概要をお話ししました
自筆証書遺言の保管制度により
- 遺言者の遺志が尊重される
- 遺言の紛失が防げる
- 遺言の存在が知られる
- 安い費用で利用できる
などのメリットがあり利用が広がることと思います。
まだ施行前で分からない点もありますので
今後この記事については適時改正していきたいと思います。
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